『自分の「ものさし」で生きなさい 人を愛し、自分を愛するための処方箋』

酒井 雄哉/著 村木 厚子/著
日経BP社/刊
定価1,512円

今日一日を一生の思いで生きる

 村木厚子氏が2009年に文書偽造事件で逮捕・起訴された事件。私の中ではまだまだ生々しい。よく無実が証明されるまで、気力体力が持ちこたえたものだと、驚き・感動したことを鮮明に覚えている。そしてこの対談を読んで、ずいぶん納得した。村木氏は決して硬く強固ではないが、しなやかで折れたり切れたり磨り減ったりしない。

 先の先まで思い悩まず、一日一日の思いで、今を、今日を精一杯生きることを大事にしたと言う。そして何事も自分の信ずるところで判断している。そう、「自分のものさし」で生きている。自分のものさしを持っているところがすばらしいと唸ってしまった。もっと早くこの本に出会っていたら私の仕事人生も変わっていたかもしれない。しかし倣慢にならず、謙虚さを持ちながら自分のものさしで生きることは並大抵なことではないだろう。真実を明らかにするために、国家損害賠償を求め、賠償金を国から勝ち取ったが、お金が目的ではないと、その賠償金は障害者のために寄付している。その理由は自身の体験に裏打ちされたすばらしいものである。「あっ、なるほどそうだ。お見事ー」とつい拍手した。

 村木氏だからこそできた。拘留中に150冊もの本を読破する精神力を持つ彼女だからこそ。しかし、その彼女の精神力を育
てたものは、日々の生活スタイル、毎日のちょっとした心持ち。私にも少しはできるかもしれないと思えたことが心強い。
経歴は凄いが子育てや仕事に悩む姿は、女性共通のものであり、それを「自分のものさし」で切り抜けてきた彼女の一言一言は、働く全身に染み渡り、窮地に立った時救ってくれる力になるだろう。

(評・岐阜県高山市北陵中学校図書館司書 森田純子)

(月刊MORGENarchives2014)

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